フランス語読解教室 III

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zoom RSS ジョーン・バーガー「モネ、彼方の画家」(2)

<<   作成日時 : 2011/03/09 17:18   >>

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 [注釈]
 
 * lorsqu'il re'alisa soudain, alors qu'il la peignait,…: ここは、友人に打ち明けずにはいられなかったモネの「苦しみと衝撃」が何であったのを明らかにしなければなりません。il re'alisa soudain, alors que...、息絶えた妻の姿を「研究」し、「克明に書き留めていた」。そのことの突然の自覚が、モネの「苦しみと衝撃」でした。ですから、自分は本能のままに行動する la be^te だ、と言うのです。また、だからこそ一度「筆を置く」と、自分がさっきまで何をしていたのか、何を描いていたのか、わからなくなるのです。
 ただ、ぼくも、la bete qui toune sa meule この表現が一般的な慣用句なのか、どうなのかは突き止められませんでした。
 * dans la vie courante : langue courante 「普段の言葉」, un usage courant 「一般的な用法」ですから、la vie courante は、「普段の生活」のことです。
 * Leurs me'thodes pictuales ne sauraient e^tre plus diffe'rentes : savoir の条件法+inf. で、「…できる」。とくに、否定表現でよく使われます。ex. On ne saurait trop le souligner. 「そのことはどれだけ強調してもいい」, On ne saurait mieux dire. 「上手いこと言いますね」

 [試訳]
 
 モネのすべての絵画は流れに関わっている。けれども、印象主義の原理が想像させるように、それは時間の流れのことだろうか。私はそうは思わない。
 死の床にあるカミーユを描いてからしばらくして、モネは、妻を描きながら突然つぎのことに気づいた時の痛みと衝撃を友人のクレマンソーに語っている。その時自分はまさに、妻の血の気の失った顔を観察し、死がもたらした色やトーンの変化を克明に書き留めていたのだ。まるで普段の生活においてちょっとした事柄に目をとめるように。モネはこんな言葉でその手紙を締めくくっている。「これではまるでひき臼を無心にひいている獣のようだ。ぼくを哀れんでくれ、友よ。」
 モネが苦しくてならなかったのは、一度筆を置いてしまうと、自分が一体何をしようとしていたのか、キャンバスに走らせていた筆が自分をどこに導こうとしていたのか、わからなくなってしまうことだった。
 ある日モネは語っている。自分は事物そのものを描こうとしているのではなく、事物に触れている大気を、事物を包み込む大気を描きたいのだと。もう一人のヨーロッパの画家が似たようなことを企てていた。フェルメールだ。
 二人の画家の方法はこれ以上ないほど違うものではあろう。けれども、夢見ていたものはおそらく同じである。題材がそこに沈み込んでいるそのものを画布の上で捕らえること、題材を包み込んでいる、あるいは抱きしめている透明な大気のようなものを表現することである。
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 shoko さん、工藤・山田両先生の対談、楽しみですね。ぼくも住まいが首都圏だったら、是非参加したい催し物です。ちょっとわくわくするような顔合わせではないですか。後日、対談の内容が雑誌などで活字になることを切望しています。
 ウィルさん、「ふらんす」誌上で『失われた時を求めて』の対訳講座始まること、知りませんでした。ぼくは、どうしたわけか「ふらんす」の熱心な読者にはなれないのです。知りあいの同僚が連載を担当していたこともありますし、いろいろ教わることも多い、伝統ある雑誌なのに、年に何度か義務感に駆られて手にすることがある程度なのです。一体どうしてでしょう…。
 テキストの録音ですが、ぼくは、恥ずかしながら、専門的な発音矯正を受けたことがありません。留学中、親しくなったフランス人から、shuhei は、mais の「エ」のあとが伸びる癖があるね、とか、r は、もうすこし軽い発音の方がいいよ、などの指摘を受けたことがある程度です。ですから、アナウンサーや俳優といった言葉のプロに聞かせたら、きっと顔をしかめられる代物だと思います。その点、ご了承下さい。
 そろそろ、スギ花粉の飛散の最盛期なのでしょうか。今年は症状が少し軽くて済みそうだと高をくくっていた花粉症に、やはり身体が不調を訴えはじめました。目のかゆみから始まって、鼻水。それからどことなく頭・身体の「切れ」が、いつにもまして鈍くなって来ました。どうにかやり過ごすしかありませんね。どうか花粉症の方はお大事になさって下さい。
 それでは、次回は ignorance de notre part. までとしましょう。
 Bonne lecture ! Shuhei
 
 p.s. ごくたまにですが、下記で murmurer しています。お暇なら、のぞいてみて下さい。
  http://twitter.com/#!/hioki



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