フランス語読解教室 III

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zoom RSS ジョン・バーガー「モネ、彼方の画家」(4)

<<   作成日時 : 2011/04/06 21:10   >>

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 [注釈]
 
 * d'autre chose appartenant a` l'infiniment extensif. : l'infiniment extentif 「無限に伸びゆくもの」= une substance indivisible 少し図式化すると、こういう構図になります。
 l'extentif ; substance ; e'ternel ; universel ; intemporel <--> instantane'ite' ; effets fugitifs ;local ; e'phe'me`re ; temporel
 * a` la fois de la perception me'ticuleuse (...) et d'une confirmation de cette percetion... : a` la fois A et B 「AとBと同時に」ただ、ここは難しくて、できれば元の英文を知りたいところです。
 大気という「被い」には、モネ本人の繊細な知覚と、「それと同時に」そうした一個人の知覚 cette percption を支えている、彼方 lieux sans adresse からの力が認められる、と言いたいのだと思われます。ただ、recue がどう働いているのか、果たして必要なのか、などがよくわかりませんでした。
 * de'ja` parfaitement imprime's. : ここは、アイリスを描くことの難しさ、つまり、どんなに完璧にその花弁の一枚一枚を描いても、その独自の運動、une manie`re particulie`re d'ouvrir はなかなか捉えきれない。そして、その運動までもを司っているのが、あのune substance なのでしょう。
 
 [試訳]
 
 モネは、自らが捉えようとつとめていた「瞬間」のことをしばしば話題にしていた。大気も無限に延長する不可分の実体の一部であるのだから、それは、そうした瞬間を永遠へと変えてしまうことになる。
 ルーアンの大聖堂の正面を描いた何枚もの絵画も、移ろいやすい光りの効果の証言であることを止めて、無限に延長するものに属する他のものたちとの応答のやり取りとなる。たとえば、大聖堂を「包み込む」大気は、モネの大聖堂に対する微細な知覚を含むと同時に、どこともしれないところからやって来た何かによって、そうした知覚が信認されたことも孕んでいる。
 積み藁を描いたいくつもの作品も、さまざまなものに呼応している。夏の暑気に満ちたエネルギーや、草を食む雌牛の四つの胃袋、川のきらめき、海の岩場、パン、髪の房、呼吸する皮膚の毛穴、ミツバチの群れ、脳みそ…などに。
 モネをふたたび訪れてみて、展覧会に足を運ぶ人々にその作品の中に見てほしいと思ったのは、限られた場所の、つかの間の証言ではなく、普遍的な、無時間的なものに開かれたさまざまな地平である。これらのどの作品にも見られる彼方は、時間に属するというより、延長に属するものであり、郷愁を誘うものであるより、隠喩的なものである。
 アイリスは、モネのお気に入りの花のひとつだった。描くのにこれほどの力量を要求される花は他にはない。その花びらを完全に描いてみせても、アイリスは実際独特の仕方でその花弁を開くからだ。その花々は、まるで預言のように、おだやかであると同時に人を呆然とさせる。おそらくは、だからモネはアイリスを愛していたのだろう。
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 4月3日日曜日の夜、今回の大震災を扱ったNHKのテレビ番組を二番組二時間続けて観ていました。突然襲われた災難に、堪え忍び、あるいは立ち向かっている人々の姿を、こちらは暖かい部屋でただ映像を通して見ているだけなのですが、だらしないことに、涙を抑えて画面を見つめ続けることは出来ませんでした。
 前回、小熊英二『私たちはいまどこにいるのか』(毎日新聞社)を紹介しました。そこには、冷戦時の、ある意味恩恵を受けた高度成長、そしてグローバル資本主義モデルの成功体験が、もう通用しない段階にこの社会がさしかかっていることを語った明晰な言葉が綴られていました。この本はもちろん大震災前に書かれたものですが、私たちの社会の有り様を今一度見つめ直す必要を説いていました。
 その主張と響きあう論考をご紹介しておきます。
 http://www.counterpunch.org/karatani03242011.html
 批評家の柄谷行人が、自身の出身地を襲った阪神淡路大震災と、その後に日本社会の取った進路を再考し、今次の大震災を経て、これから私たちが考えるべきことを示唆しています。
 
 それでは、次回からは、東京在住のフランス人が今回の大災害について綴った文章を読むことにします。週末にはテキストをお届けします。

 首都圏に在住のshoko さん、明子さん、雅代さん、ウィルさん、いろいろご不便、ご心配がつきないでしょうけれど、落ち着いた日常を取りもどせる日が早く来ることを祈っています。
 Shuhei




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